〜 南幌 グル−プホ−ム【福音の家】での診療録 〜
当院ではこのような訪問診療も承っております。
お気軽にお問い合せ下さい。

(グル−プホ−ムとは、痴呆症の方々をお世話する施設。)
とくに、この【福音の家】では、ご主人の石本ご夫妻をはじめとして、
数人の介護の方々が心温まる、アットホ−ムな
介護の日々をおくっておられます。
石本さんは20年来の患者さんです、
キリスト教の牧師さんをなさっています。
 2002.2月、6人の患者さんの治療を依頼されました。
私が最初に訪れたときは「ンンー、これはタイヘンかなぁ・・・?」と思い、
ご主人の石本さんに「タイヘンそうですねぇ・・・」と申し上げたところ、
石本さんは『老人が好きだから何もタイヘンだとは思わないよ--』
とさらり。その一言で「よっしゃあ!」と火がつきました。
さて、4人の患者さんは自分で食事もできるし、
義歯が合わないときの痛みもわかるので、
比較的楽に進められました(本当に痴呆症?・・・って思うほど)。
 義歯を作ってから頑張ったのは、“ナヲさん”でした。
2002.2月、初診時にはまなざしに力がなく、
体もガリガリの状態で、話も通じません。
当然、最初は、義歯もまともには、使えませんでした。
生きる意欲を失いかけていたのです。
何度となく足を運び、スタッフ皆でお世話や指導をしていくうちに、
車椅子からは離れられないものの、
噛むということを思い出してくれました。
最近では、よく話もしてくれるし、顔もふっくらしてきました。

もう一人の“桃子さん”にはバンザイしました
(彼女は失語症?で無反応)。
2002.2月、義歯の型をとったまではよかったのですが、
下顎の動きをコントロ−ルできず、
苦労の末に何とか無理矢理噛み合わせをとって製作した
義歯には口の中にも入れてもらえませんでした。
何度足を運んでも、進展はありませんでした。
ところが、2004.1月再度要請があり、
今度こそ!・・・の思いでした。
そしてもう一度、
顎の筋肉のトレ−ニングを試みることになったのです。
運よくというか、“桃子さん”とは良い仲になっていたので、
私を歯医者(?)として何となく理解してきたようで、
言葉も少しですが出てくるようになりました。
私は《噛むという行為は、歩くこと以上に、
無意識のうちにできる》と思っています。
“桃子さん”も絶対に噛めるようになると
信じて、毎回、毎回、トレ−ニングに熱を入れました。
そしてある日ついに、思っていた位置に顎を誘導できたのです。
これで義歯を作れるぞ--!
義歯ができ上がり、南幌に向かう車の中で、
私の頭の中は期待と不安でいっぱいでした。
ところが・・・ 用意してもらったクッキ−を、
彼女は、いきなり“ボリボリ”と食べだしたのです。
これには衛生士もビックリ、石本さんもビックリ、
私はポロリ…と涙が―。
歯科医師になって25年間、忘れていた感動がこみ上げました。 
その後も食事の時間にお邪魔し、指導をつづけています。
“桃子さん”も頑張っています。

【福音の家】の皆さん、頑張ってください。
1年後、2年後の皆さんの笑顔を
楽しみにしています。
では、また来週・・・。
(追伸)入院されている“菊子さん”、
早くよくなりますよう祈っております。

― 野幌歯科 院長 野呂 雅之 ―
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